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英知の勇者

鳩胸そる
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神の声が聞こえない。魔力もない。生まれ持った神言石も、十八になった今なお石ころのまま。 辺境の村で「無属性」と笑われて育ったゼンは、それでも腐らなかった。使えないなら鍛えればいい。分からないなら調べればいい。観察と考察を重ね、規格外の肉体と頭脳を作り上げた。 そんなある日、魔王軍が王都へ侵攻する。志願兵には、戦果に応じた報酬が出るらしい。 「親父の借金が返せるかもしれない」 家族として暮らす魔法使いの少女フィアとともに戦場へ向かったゼンは、敵軍を観察し、指揮系統を見抜き、剣一本で戦線を崩していく。 その戦果の果てに待っていたのは、思わぬ褒賞だった。 「おぬしは、今日から勇者である」 なりたくもなかった勇者に祭り上げられたゼン。だが、彼は考える。勇者という立場なら、これまで届かなかった場所へ手を伸ばせるのではないか。 神の声とは何か。魔力はどこから来るのか。そして、魔王とは何なのか。 魔力を持たない男が、知恵と筋肉で世界の仕組みを解き明かしていく物語。

10.1万字
2026年6月7日 21:09更新

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